Xilinx Developer Forum 2017 Tokyoに参加してきました #fpga
2017/10/17に、東京マリオットホテルにて開催された「Xilinx Developer Forum 2017 Tokyo」に参加してきましたので、レポートします。
Xilinx Developer Forumとは、FPGAベンダーであるザイリンクス社が、パートナーやハードウェア開発者、ソフトウェア開発者、そしてユーザとの交流を目的に、毎年開催しているフォーラムとのことです。公式ページによると、
- ソフトウェア アプリケーション開発
- エンベデッド ソフトウェア開発
- ハードウェア開発
と3トラックに見えますが、「ソフトウェア アプリケーション開発」は、クラウドとソフトウェアの2種類の内容が平行開催になっており、実質4トラックの構成でした。
アジェンダによると今年は特にAWS F1推しのようでしたので、期待を高めつつ会場に向かいました。
基調講演1
Xilinxの基調講演では、Ramine Roane (Xilinx Sr Director Sodtware & IP)から、CPUの性能向上が頭打ちになっているコンピューティングの現状から、なぜFPGAなのかが語られました。XilinxはFPGAのツールチェーン、開発のメソッド、ソフトウェアスタックなど、すべてのレイヤを提供しており、ソフトウェアの会社であることを強調しているのが印象的でした。
基調講演2
ゲストの基調講演に、Amazon Web ServiceからDavid Pellerin (Head of worldwide bussiness development) が登壇しました。高位合成ツール「Impulse C」の開発者と言ったほうが通りが良いかもしれません。AWSに所属されているのですね。この講演では、Forumの主たる参加者であるFPGA開発者に対して、AWSのクラウドFPGAについての紹介でした。
- EC2とF1インスタンスの紹介
- FPGA Developer AMI開発環境
- Marketplace提供されているソリューション
特にMarketplaceでソリューションをエンドユーザに向けて提供可能であることを強調していました。セキュアであるお墨付きは政府や研究機関が採用するレベルであること、そして柔軟な課金モデルを設定することができることも説明されていました。
セッション
基調講演のあとはセッションが続きます。ソフトウェア アプリケーション開発トラックに参加しました。それぞれのセッションをかいつまんで紹介します。
reVISION™ & リコンフィギャラブル アクセラレーション スタックの概要
Vinary Singh (Xilinx)
ソフトウェアのトラックを日本で開催するのは今回が初とあり記念すべき回とのことです。
本セッションは、reVisionというコンピュータビジョン向けスタックの紹介です。コンセプトから3週間程度で実装まで作れるとのことです。
印象的なのは、ハードウェア開発者とソフトウェア開発者が、APIを通じて協力して一緒に開発を行えるということが強調していたことです。ハードウェア開発はとっーてもクールなことなのだから、是非APIを作って、ソフトウェア開発者に提供して欲しいとのエールを送っていました。
深層学習のためのザイリンクス アーキテクチャおよびソリューション
Nick Ni (Xilinx)
Xilinxが提供する深層学習向けのアーキテクチャ xfDNN が紹介されました。Tensor Flow他さまざまなフレームワークで利用することができるとのこと。
Jupyter notebookとの統合があると一言だけですが言及されていることが興味を引きました。
AWS F1の上で動いているAWS F1 Test Drive が動いているそうです。申し込みでアクセスできるとのことです。
ザイリンクスのオープン ソース アプリケーション ライブラリおよびフレームワーク
Nick Ni (Xilinx)
情熱:新しい多くのプログラマにXilinxのイネーブラを提供したい。開発者にはライブラリが必要だとの主張です。
特にエッジコンピューティングの組み込みにおいては、OpenCVが重要との認識を示し、SDx向けにxfOpenCVをgithubで公開しているとのことです。
xfDNNのパフォーマンスの詳細が紹介されました。GPUに比べて x5倍のパフォーマンスが出せるそうです。現在アーリーアクセスとのことですが、デモすることが可能だそうです。
SDx 開発環境 C/C++/OpenCL でのコンパイル、デバッグ、およびプロファイリング
Nick Ni (Xilinx)
SDxとは何か。Vivado, Vivado HLS, SDAccel/SDSoCの関係が説明されました。SDxにより、ソフトウェア開発者は使い慣れたツールを使うことができ、ハードウェア開発者にとっても効率向上の効果があったそうです。
クラウド向け開発、そしてエンベッド向け開発のための、デバッグ手法、プロファイル手法が紹介されました。
SDxでは、高位合成だけではなく、RTL IPレガシーデザインを統合することができとのことです。
AWS F1 入門
Vinary Singh (Xilinx)
FPGA Developer AMIを使うことでAWS F1の開発がすぐに始められること、コーヒー一杯の値段で世界最高性能のFPGAを利用できると強調していました。 利点1:ラップトップとインターネット接続さえあれば世界のどこからでも可能。利点2:1,10,100,1000といくらでもスケールさせられる。利点3:アプリケーションを作ることが利益に結びつく。Marketplaceを使えば数分で公開することができ、課金モデルも柔軟です、との主張です。
RTL IPから、C/C++、そしてOpenCLなど様々な開発手法、そしてホストアプリケーションの開発についての概要が紹介されました。今日帰ったら、今日中にアカウントを作って始めるようにとのこと。
AWS F1 アプリケーション : Deephi Tech
Dr Yi Shan (Deephi Tech)
AWS F1アプリケーションとして、Deephi TechからDNNDKの紹介です。推論の部分にフォーカスして効率の良い推論ができるよう最適化を行なっているとのこと。劣化を最小限に抑えつつモデル圧縮を行なっているそうです。
エッジとクラウド両方のソリューションを提供しているとのこと。FPGAによる推論ではレイテンシを一定に抑えることができるメリットがあるとのことです。ビデオでデモを示していました。
パブリック クラウドにおけるエンタープライズ アプリケーションの高速化
Vinary Singh (Xilinx)
以下の事例について、FPGAによる高速化がいかに効果があるかが説明されました。
- Deephi Deep Learning 40x
- NGcodec Video Encode 10x
- Ryft Big Data Analysys 90x
- Genomics 100x
とくにGenomicsでは、新生児のゲノム診断に要する時間を短縮することが、命を救うことにつながると強調していました。
その他
ホールではパートナー社などの展示があり賑わっていました。ブースの周りは混んでいて質問待ちの列ができているほどでした。セッションの合間にはブースを周りましたが、おかげまったく休憩になりません。
主催のXilinxのブースでは、AWS推しで、FPGA開発環境とF1インスタンスをメインにした展示をされていました。
参加者の方に教わったのですが、このフォーラムはワールドツアーで、東京の前はSillicon Valley、後には北京、フランクフルトで開催されるのだそうです。他の会場では、東京のとは違ったセッションがあり、その資料も参照できるようです。とくに北京ではAmazon以外のFPGAクラウドも紹介されているようで興味深いところです。
まとめ
朝から夕方まで充実したセッションと展示でした。AWS F1を全面に推し出していたこと、そしてXilinxはソフトウェアの会社だという主張が印象に残りました。
参考
- Xilinx Developer Forum 2017 Tokyo 登録するとスライドをダウンロードできます